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お肌のはなし ~ フラーレンのエイジングケア効果とは? ~

年齢とともに気になってくる、シミ・シワ・くすみなどの肌悩み。そんなエイジングサインに立ち向かうための美容成分として知られているのが「フラーレン」です。ここでは、フラーレンの特徴やエイジングケアへの効果、安全性、さらにおすすめのアイテムまでをわかりやすく解説します。

フラーレンとは?

フラーレンは、その発見が1996年にノーベル化学賞を受賞したことでも知られる注目の成分で、エイジングケア分野においても高い関心を集めています。60個の炭素原子が結びついた球状の特殊な構造を持ち、非常に安定していることに加え、優れた抗酸化力を発揮します。この特性により、肌の老化やトラブルの原因となる活性酸素を除去し、シミ・くすみ・ハリ不足といったエイジングサインへのケアに役立ちます。
高い安全性も評価されており、美容やスキンケア分野では幅広く活用が進んでいます。今回はそんなフラーレンの構造的な特徴や働き、美容成分としての魅力を詳しくご紹介します。

炭素原子からなる独特の球状構造に炭素原子からなる球状の構造

フラーレンは、炭素原子が五角形と六角形を組み合わせた配列を持ち、結合したサッカーボールのような球状の分子構造を形成しています。
この独特な構造が、高い安定性と優れた抗酸化力を発揮し、活性酸素を内部に取り込み無害化する特性につながっています。
これらの特性により、肌の老化やさまざまな肌トラブルの原因となる酸化ストレスの軽減が期待されており、フラーレンの機能性を支える重要な要素となっています。

高い安定性を持つため、抗酸化作用が長時間持続

フラーレンは、その安定した分子構造により、抗酸化作用を長時間持続させることができます。
一般的な抗酸化成分は、自らが酸化されることで働きを終えますが、フラーレンは活性酸素を取り込み分解し、自身は酸化されることなく繰り返し作用します。
そのため、肌に塗布した後も酸化ダメージから肌を守る働きが続き、外的ストレスに対して持続的な防御効果を発揮するのが特徴です。

一般的な抗酸化成分(例:ビタミンCやビタミンEなど)の効果の持続性が短い理由

一般的な抗酸化成分(ビタミンCやビタミンEなど)は、分子構造が不安定なため、抗酸化作用の持続時間が短い傾向があります。
これは、これらの成分が「自己犠牲型」の仕組みで働くためで、自らが酸化されることで活性酸素を除去します。その結果、一度役割を果たすと抗酸化力を失い、再び作用することができないため、効果が短時間で弱まってしまいます。

美容成分としての安全性

フラーレンは、化粧品に配合される濃度での使用において安全性が高いとされています。
国内外の研究により、発がん性などの懸念はないとされており、企業などによる各種安全性試験(皮膚刺激性試験、眼刺激性試験、変異原性試験など)もクリアしています。
そのため、敏感肌の方でも使用できる安心な成分として知られています。

なぜフラーレンがエイジングケアに効果的なのか?

強力な抗酸化作用で活性酸素を除去

フラーレンの持つ高い抗酸化作用は、エイジングケアにおいて大きな役割を果たします。
老化の原因のひとつである活性酸素は、紫外線やストレスなどによって発生し、細胞やコラーゲンにダメージを与えてシワやたるみ、くすみといった肌老化を引き起こします。フラーレンはその安定した構造により、活性酸素を効果的に吸着・分解し、細胞への酸化ダメージを抑えます。
その結果、肌の健康を守りながら、若々しさを保つエイジングケア効果が期待できるのです。

メラニン生成を抑えてシミ・くすみを防ぐ

フラーレンはメラニン生成を抑制し、シミやくすみの予防に役立つとされており、美白ケア成分としての側面も持っています。
そのメカニズムは以下の通りです。

活性酸素の除去によるチロシナーゼ活性の抑制

メラニンの生成には、チロシナーゼという酵素の働きが大きく関係しています。チロシナーゼは、メラノサイト(色素細胞)内でメラニン合成の初期段階を担う中心的な酵素であり、その活性がメラニン量を大きく左右します。
ところが、この酵素は紫外線やストレスなどによる酸化ダメージ、特に活性酸素の影響を受けて活性化しやすく、それ がシミやくすみの原因となるメラニンの過剰な生成につながります。

フラーレンの持つ抗酸化作用は、活性酸素を長時間にわたり安定的に除去・分解できるため、チロシナーゼの過剰な活性化を抑える働きが期待できます。
その結果、メラニンの過剰生成を防ぎ、シミやくすみの予防に役立つと考えられています。

炎症性サイトカインの抑制による色素沈着予防

紫外線や摩擦などの外的刺激を受けると、肌では防御反応として炎症性サイトカインと呼ばれるタンパク質が分泌されます。これらは本来、体を守る役割を担っていますが、分泌が過剰になると皮膚に炎症を引き起こし、メラノサイト(色素細胞)を刺激してメラニンの生成を促進させてしまいます。
その結果、シミやくすみといった「炎症後色素沈着」が起こりやすくなります。フラーレンは、こうした炎症性サイトカインの過剰な産生を抑制する働きがあるため、炎症によるメラニンの過剰生成を防ぎ、色素沈着の予防に役立つとされています。

コラーゲンの分解を抑制してシワを予防

肌のハリや弾力の維持に欠かせないコラーゲンは、加齢に加え、紫外線や摩擦などの外的刺激によって分解が進みやすくなります。
とくに紫外線を浴びると活性酸素が多量に発生し、それがコラーゲン分解酵素の働きを活性化させます。また、紫外線や刺激に対する防御反応として分泌される炎症性サイトカインも、同様にコラーゲン分解酵素の産生を促す要因となります。

フラーレンは、優れた抗酸化作用と抗炎症作用を併せ持ち、活性酸素の除去や炎症性サイトカインの過剰な分泌を抑える働きがあります。これにより、コラーゲンを分解する酵素の発現や活性が抑制され、結果としてコラーゲンの減少を防ぐことに役立ちます。
こうした特性により、フラーレンは肌のハリと弾力を保ち、シワの予防をサポートする美容成分としてエイジングケア化粧品に活用されています。

毛穴の開きの予防

毛穴の開きは、皮脂の過剰分泌と、それに続く酸化によって生成される「過酸化脂質」が大きな要因とされています。
皮脂の分泌は、酸化ストレスやホルモンバランスの乱れなどによって増加しやすくなりますが、フラーレンにはその一因である活性酸素を取り除く作用があり、皮脂腺の過剰な働きを抑える効果が期待されます。
さらに、酸化した皮脂から生じる過酸化脂質は、毛穴周辺に炎症や角化異常を引き起こし、毛穴の詰まりや黒ずみ、開き、たるみの原因となります。フラーレンは高い抗酸化力を持ち、皮脂の酸化を防ぐことで過酸化脂質の発生を抑え、毛穴の炎症や詰まりを軽減。結果として、毛穴の目立ちにくい健やかな肌環境の維持に役立つと考えられています。

ニキビの予防

ニキビは、主にアクネ菌の増殖と、それに伴う炎症反応によって引き起こされます。
アクネ菌は、酸化された皮脂、すなわち「過酸化脂質」を好んで栄養源とするため、皮脂が過剰に分泌されたり、その皮脂が酸化することで、菌が繁殖しやすい環境が形成されてしまいます。

フラーレンには、活性酸素を除去する優れた抗酸化作用があり、酸化ストレスを軽減することで皮脂腺の過剰な活動を抑える効果が期待されます。
また、この抗酸化作用によって皮脂の酸化が防がれ、「過酸化脂質」の発生も抑制されます。

加えて、フラーレンは炎症性サイトカインの産生を抑える抗炎症作用も持ち合わせており、ニキビによる赤みや腫れを和らげる働きも期待できます。

バリア機能をサポートし、健やかな肌へ

フラーレンには、肌のバリア機能をサポートし、健やかな肌状態へと導く効果が期待されています。

私たちの肌は、紫外線や大気汚染、摩擦などの外的刺激にさらされると、活性酸素が発生し、それが肌細胞や皮脂を酸化させることでバリア機能が低下してしまいます。
バリア機能が弱まると、肌は乾燥しやすくなり、外部刺激にも敏感になってトラブルが起こりやすくなります。

フラーレンは、その抗酸化作用により活性酸素を除去し、肌への酸化ダメージを軽減します。これにより、肌の細胞や皮脂膜を健やかに保ち、バリア機能の低下を防ぎます。
また、抗炎症作用も兼ね備えているため、炎症によって引き起こされる肌荒れやバリア機能の乱れへもアプローチが期待できます。

フラーレン配合化粧品の選び方

フラーレンは、その安定性や働きを高めるために複数の形で製品化されており、特にフラーレン研究開発に長年の実績がある三菱商事ライフサイエンス株式会社(ビタミンC60バイオリサーチ株式会社)が開発するフラーレンには、それぞれの特性に応じたロゴマークが付与されています。
以下は、フラーレン製品を選ぶ際の目印となる代表的なロゴマークの種類です。

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まとめ:フラーレンのエイジングケア効果とは?

これまでご紹介してきた通り、フラーレンは優れた抗酸化力とその持続性により、肌の老化を引き起こす活性酸素を安定的に除去する働きがあります。この働きによって、シミ・くすみ・シワ・毛穴・ニキビなど、さまざまな肌の悩みに対応できるうえ、肌のバリア機能をサポートする効果も期待されています。さらに、フラーレンには種類ごとの特性があり、それぞれに対応したロゴマークが設けられているため、スキンケア製品を選ぶ際には、このマークを参考に、自分の肌の状態や目的に合ったものを選ぶことが大切です。フラーレンの特性とその製品選びのポイントを正しく理解し、健やかで美しい肌を保つために、ぜひ日々のスキンケアに取り入れてみてください。

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