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お肌のはなし ~ 酸素と活性酸素、お肌にいいの?悪いの? ~

美肌作りを意識する際、酸素について考えたことはありますか?酸素は身体に不可欠なもので、身体に行き渡ることで細胞が活性化して代謝などの促進にもつながり、肌にも良い影響をもたらします。酸素カプセルによるリフレッシュや炭酸パックを使ったスキンケアは、酸素の効果の活用例です。しかし一方で、活性酸素が増えると老化が進むとも言われ、抗酸化作用に優れた製品も数多く存在します。皆さんは、こうした相反する情報で混乱し、迷うようなことはないでしょうか?ここでは、酸素と活性酸素の違いや、スキンケアに取り入れる際に参考にできることについて解説します。

酸素と活性酸素の違い

酸素は生きる物すべてにとって不可欠なものであり、酸素が無ければ、生命を維持することができません。そのため、酸素を呼吸によって体内に取り込みます。体内に取り込まれた酸素は細胞まで行きわたり、細胞内でエネルギーを生成するために活用されます。ただ、その過程で酸素の一部が不安定な状態になり、非常に反応性の高い分子、つまり活性酸素に変化するのです。

活性酸素は、通常の酸素分子とは異なり、体内で他の分子と反応しやすい性質を持っています。この性質により、活性酸素は細胞を攻撃し、老化や病気の原因となることがあります。また、過剰に発生すると、遺伝子の損傷やタンパク質の変性、過酸化脂質の生成といった影響を引き起こす可能性もあります。活性酸素は通常、代謝の過程で自然に生成されますが、ストレスや紫外線、喫煙といった外的要因によっても増加することが知られています。

酸素の美肌効果

酸素は生命にとって欠かせないものであり、それは肌にとっても例外ではありません。酸素は美しい肌を保つために重要な役割を果たしています。肌の細胞が新しく再生するためには酸素が必要で、細胞が酸素を取り込んでエネルギーを生み出すことで、肌のターンオーバー(肌代謝)が促進され、健康的で新しい肌細胞が作られます。また血行も良くなり、血色の良い健康的で明るい肌を保つことができます。

肌の代謝を促進

酸素は細胞を活性化し、エネルギー生成を促進することで、肌のターンオーバーを助けます。酸素が充分に供給されると、細胞の代謝が活発になり、古い肌細胞が除去され、新しい細胞への再生がスムーズに進行します。

また、細胞にまで酸素がしっかりと届くことで、皮膚のバリア機能を助けるアミノ酸、セラミド、ヒアルロン酸の分泌や、コラーゲンの合成が促進され、肌の健康とハリを保ちます。

肌の明るさと血色を改善

血液中に酸素が豊富に含まれると、血液の色が明るくなり、肌が明るく見えるようになります。逆に、血行不良によって酸素が不足すると、肌が青白くくすんだ印象になります。

老廃物排泄の促進

酸素は老廃物の排出を促進し、美しい肌を保つために重要な役割を果たしています。体内で酸素が十分に供給されると、各細胞が活性化し、代謝が向上します。これにより、細胞が不要な老廃物や体内のガスを効率よく排出できるようになり、肌のトラブルが軽減されます。老廃物が滞ることなく体外に排出されると、むくみや肌荒れの予防にもつながり、肌の健康状態が維持されます。

炭酸パックは、酸素を細胞まで届けるスキンケア

酸素の働きを美容に活かしているのが炭酸パックです。炭酸パックは、血液中のガス交換の仕組みを利用して、細胞に酸素を行き渡らせる効果があります。

血液のガス交換とは、酸素と二酸化炭素を交換する仕組みです。
肺では、血液により体内から運ばれてきた二酸化炭素を、呼吸で取り込んだ酸素と交換することで、酸素が豊富な血液に浄化します。

一方、体内の組織では、肺から届いた酸素が豊富な血液から酸素が供給され、代謝の活動などにより細胞で発生した二酸化炭素と交換されます。
このガス交換により、酸素が細胞に届けられ代謝が活発化すると同時に、二酸化炭素が効率よく体外に排出されます。

炭酸パックが美肌づくりに良い理由

炭酸パックが美肌づくりに良い理由は、ガス交換の作用を利用して、肌細胞に酸素をたっぷりと届けることができるためです。

温泉の炭酸泉が美肌に良いことが知られているように、炭酸パックは二酸化炭素で肌を包み、美肌を目指すケア方法です。二酸化炭素が肌に触れることで血液中のガス交換が活性化され、酸素が効率よく血液から取り出され、肌細胞にしっかりと行き渡ります。

つまり、二酸化炭素濃度が高まると、結果的に肌細胞への酸素供給を高めるという身体の仕組みがあるのです。炭酸パックは、こうした身体の仕組みを上手く活用し、美肌を保つ理想的な環境を整えるスキンケアなのです。

活性酸素の肌への影響

活性酸素とは、体内に取り込まれた酸素の一部が不安定な状態に変化し、非常に反応性の高い分子となったものを指します。具体的には、通常は安定している酸素(O₂)が、スーパーオキシド(O₂⁻)、過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシラジカル(OH)などの活性酸素に変化します。活性酸素は、非常に反応性が高いため、過剰になると細胞にダメージを与えるようになります。

酸素から変化する活性酸素

スーパーオキシド(O2-

超酸化物(super oxide)。化学式(O₂⁻)を含む物質全般を指します。体内では毒性があり、その毒性によって体内に侵入した病原体などを殺菌する働きがあります。しかし、体内に蓄積すると酸化ストレスを引き起こし、老化の原因となります。細胞や組織が長期にわたって酸化ダメージを受け続けると、肌のしわやたるみを引き起こし、老化が進行します。

過酸化水素(H2O2

体内でエネルギー代謝が行われる際、細胞内で活性酸素の一種である過酸化水素が生成されます。過酸化水素は、脂肪酸や生体膜、DNAなどを酸化して損傷させます。

ヒドロキシラジカル(HO)

活性酸素の中でも最も反応性が高く酸化力が強い性質を持ち、糖質やタンパク質や脂質などあらゆる物質と反応します。ただ、その反応性の高さのために通常の環境下では長時間存在できず、生成後速やかに消滅します。

活性酸素による肌ダメージ

活性酸素が過剰に発生すると「酸化ストレス」という状態が生じます。若い肌では影響を受けにくいものの、紫外線を過剰に浴びたり、加齢が進むことで、活性酸素が肌に残って蓄積するようになり、酸化ストレスが増大します。その結果、コラーゲンやエラスチンといった、肌のハリや潤いを保つ成分が損傷を受け、シワやたるみ、シミなどの老化現象が加速するようになります。また、酸化ストレスは肌のバリア機能を弱め、外部刺激に対する抵抗力を低下させるため、敏感肌や乾燥肌の原因にもなります。

酸化ストレスによる、シワやたるみ、シミなどの老化現象の加速

肌のハリや潤いを保つコラーゲンやエラスチンといった肌組織成分が損傷を受け、シワやたるみ、シミなどの老化現象の加速要因となります。

酸化ストレスによる、敏感肌や乾燥肌のリスク

肌のバリア機能が低下して外部からの刺激に対する防御力が弱まり、敏感肌や乾燥肌を引き起こす要因となります

活性酸素の増加を防ぐケア

活性酸素が体内に蓄積し過剰になると、肌に多くのダメージをもたらします。活性酸素の増加を抑えるためには、日常の食事や紫外線対策、スキンケアに気を配ることが重要です。

日常生活での対策

日常生活では、バランスの取れた食事を心がけ、適度な運動を取り入れることや十分な睡眠を確保することが大切です。特に、抗酸化作用を持つ栄養素について知識を深め、それらを意識的に食事に取り入れるよう心掛けるようにしましょう。抗酸化作用を持つ栄養素としては、ビタミンCやビタミンE、βカロチン、ポリフェノール、フラボノイド、カテキンなどが挙げられます。また、普段アルコールを摂取する人は、アルコールの分解過程で活性酸素が発生するため、摂取量を適度に抑えるようにしましょう。

紫外線対策

紫外線には、シワやたるみ、肌の潤いの低下を引き起こすUV-A(紫外線A波)と、シミやそばかすの原因となるUV-B(紫外線B波)があり、これらは活性酸素と密接に関連しています。UV-Aは活性酸素の生成を促進し、それがシワやたるみ、潤いの減少をもたらします。一方、UV-Bは、UV-Aによって増加した活性酸素から肌を保護する働きを持つメラノサイト(色素細胞)を刺激し活性化します。このことでメラニン色素が増加し、結果としてシミやそばかすが生じます。こうしたことから、活性酸素の増加を防ぐためのUVケアは非常に重要です。

紫外線対策について、ご興味のある方は、こちらのコラムもご参考ください。
お肌のはなし ~紫外線対策で肌ダメージを最小限に!UVケアのポイントは?~

酸素と活性酸素の違いと肌との関係についてのまとめ

酸素と活性酸素の違いや、それぞれが肌に与える影響についてご理解いただけたでしょうか。酸素は美肌を保つために欠かせませんが、その一部が活性酸素に変わることで、過剰になると肌に悪影響を及ぼします。したがって、スキンケアでは酸素をうまく活用しつつ、活性酸素の過剰な発生を抑えることが重要です。日常生活では、バランスの良い食事や質の良い睡眠を心がけ、スキンケアでは紫外線対策を徹底しましょう。特に、活性酸素の蓄積を防ぐ日々の小さな習慣が、長期的に大きな違いを生むため、健康的で美しい肌を保つためには、日常のケアを意識的に行うことが大切です。以上、ぜひ、今後のスキンケアにお役立てください。

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