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お肌のはなし  ~ 天然保湿因子(NMF)を保つ美肌ケア ~

「天然保湿因子」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?天然保湿因子とは、肌の角質層に存在する天然の保湿成分で、美しい肌を保つために非常に重要な肌を構成する要素です。ここでは、その役割と、それを維持するためのスキンケア方法について紹介します。

天然保湿因子(NMF)とは、肌本来のうるおい成分

天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)は、肌の角質層に含まれる「肌本来のうるおい成分」です。NMFは主にアミノ酸、乳酸、尿素、塩類などで構成され、水分を取り込んで保つ働きにより、肌の潤いを維持します。また、肌のバリア機能も強化するため、美しく健康な肌を保つためには不可欠な存在です。しかし、年齢を重ねることや、紫外線、ストレスといった外部からの影響でNMFの構造は弱まりやすくなり、その結果、NMFが流出して角質層の水分やアミノ酸が減少し、乾燥やカサつきが生じやすくなります。健やかで潤いのある肌を長く保つには、NMFを意識した適切なスキンケアが大切です。

天然保湿因子(NMF)の美肌を保つはたらき

天然保湿因子(NMF)は、「水分保持機能」に加えて、「肌のpHバランスの調整」や「角質層の柔軟性の維持」など、美肌を保つための重要な働きを担っています。以下にこれらを整理してみます。

  • 【水分保持機能】

    NMFは、角質層で水分をしっかり保持し、体内の水分の蒸発を抑えます。この働きにより、肌を乾燥から守り、肌の潤いを維持します。

    ・水分を吸収・保持し、蒸発を抑える

    NMFは、周囲の環境から水分を吸収して角質層に取り込みます。これは、体内だけでなく大気中からも水分を取り込むため、乾燥した環境でも肌の水分を保つ働きを持ちます。また、一度角質層に取り込んだ水分が外へ蒸発するのを防ぐ働きもあります。

    ・角質層の水分バランスの保ち、肌の柔軟性を維持する

    NMFには、肌の角質層全体の水分量を約20〜30%に保つ役割があります。このおかげで、肌の柔軟性やハリが維持され、小じわができにくくなります。この水分バランスを保つ働きが、健康的でみずみずしい見た目や質感の持続に大きく役立っています。

  • 【肌のpHバランスの調整】

    NMFは肌のpHを弱酸性に保つ機能を持ち、これによって肌の健康を支えています。弱酸性の環境は皮膚常在菌の適切なバランスを維持し、有害な細菌の繁殖を抑えることで、肌トラブルの予防につながります。

    また、 肌に本来備わっている機能として、洗顔やクレンジングなどで肌のpHがアルカリ性に傾いた際に弱酸性に戻そうとする働きがあります。「アルカリ中和能」と呼ばれるこの働きは、肌のターンオーバー(代謝)に適度な刺激を与え、健康で美しい肌を維持するために役立ちます。

    アルカリ中和能の働きを利用したスキンケアについて、ご関心のある方は、こちらのコラムもご参考ください。

    お肌のはなし ~スキンケアアイテムの弱酸性と弱アルカリ性について~

天然保湿因子(NMF)の主成分はアミノ酸

天然保湿因子(NMF)の主な構成成分はアミノ酸です。食事から摂取されたタンパク質が体内で分解され、アミノ酸が生成されます。この生成されたアミノ酸は、表皮の最下層「基底層」で新たに作られる角質細胞が成長する際に結びつき、NMFとして合成されていきます。

アミノ酸は、多くの基礎化粧品に、保湿成分として幅広く配合されている。

人の身体の大部分が、おおよそ60%が水分と約20%のアミノ酸によって組成されています。このようにアミノ酸は私たちの体にとって身近で重要な成分であるため肌に馴染みやすく、肌の潤いを保つとともにバリア機能のサポートにも役立つことから、基礎化粧品の保湿成分として幅広く用いられています。

保湿アミノ酸として、化粧水や美容液、クリームなどの基礎化粧品に配合される成分には、グリシン、アラニン、セリンといったアミノ酸がよく知られています。

天然保湿因子(NMF)が減少する原因

天然保湿因子(NMF)は美しい肌を保つために非常に大切な要素です。しかし、加齢やその他さまざまな要因によって、次第に減少していきます。健康で潤いのある肌を長く維持するためには、NMFの減少原因を理解し、それを基にスキンケアを行うことが重要です。

加齢に伴うNMFの減少

NMFは、ターンオーバー(肌代謝)の過程で新しい角質細胞が生まれ、その細胞が成長・成熟する中で生成されていきます。しかし、加齢に伴いターンオーバーの周期が長くなり、新しい角質細胞の生成が衰えると、NMFの生成も減少します。

紫外線の影響によるNMFの減少

紫外線は肌にダメージを与えるだけでなく、肌のターンオーバーが衰える原因にもなります。その結果、NMFの減少に大きく影響します。
したがって、NMFの維持には、紫外線対策としてのUVケアに加え、紫外線を浴びた後のアフターケアが非常に重要です。

紫外線対策について、ご興味をお持ちの方は、こちらのコラムもご参考ください。

お肌のはなし ~ 紫外線対策で肌ダメージを最小限に!UVケアのポイントは? ~
お肌のはなし ~ 日焼けした肌のアフターケアでの大切なポイント ~

不規則な生活習慣やストレスなどの要因によるNMFの減少

不規則な生活習慣やストレスは、体内のホルモンバランスや新陳代謝に悪影響を及ぼし、肌のターンオーバーを乱す要因となります。その結果、NMFの減少に大きく影響します。

洗顔時の強すぎるゴシゴシ洗いによる角質層へのダメージによるNMFの減少

洗顔時にゴシゴシと強くこすり洗いをすると、その摩擦で肌表面の角質層がダメージを受けやすくなります。角質層が傷つくと、NMFも一緒に流れてしまい、これが日々繰り返されることでNMFの減少が進行してしまいます。

天然保湿因子(NMF)を保つためのスキンケア

肌の潤いを保ち、バリア機能をサポートする天然保湿因子(NMF)を保つためには、肌本来の力をしっかりと支えるスキンケアが重要です。

肌本来の基礎的な力を維持するためのスキンケア

肌には、新しい細胞を生み出して代謝を促す「ターンオーバー」、不要な老廃物を体外に排泄する「デトックス機能」、外部の刺激から肌を保護する「バリア機能」などの力が備わっています。毎日のスキンケアでは、これらの機能が十分に発揮される肌環境を整え、その力を長く保てるようにすることが大切です。

肌を解放するスキンケアで、肌のターンオーバーを整える

日中、肌は紫外線など外部の刺激にさらされるほか、メイクや日焼け止めで覆われることにより、多くのストレスを受けています。このようなストレスを受けることは、肌本来の機能を大きく損ないます。肌を覆うメイクは、汗腺や皮脂腺を塞ぎ、老廃物の排泄や、肌を保護する皮脂膜を作る皮脂分泌を妨げます。そのため、ストレスから肌を解放し、肌本来の活動を妨げない環境を整えることが、美肌を保つスキンケアの基本です。

肌のターンオーバー(肌代謝)もストレスの影響を受けやすく、その影響は、肌の健康や老化の進行にまで及びます。そのため、夜はしっかりとクレンジングや洗顔で日中の汚れやメイクを落として肌を解放し、清潔でリラックスした状態に保つことが大切です。

誰もが続けやすい、眠っている間のスキンケア

スキンケア全般に言えることですが、1日だけ念入りに行っても、効果は長く続きません。美肌を保つためには、ケアを毎日続けることが重要で、その積み重ねが差を生みます。そのため、日中の汚れやメイクはクレンジングや洗顔でしっかり落とし、肌を解放するケアも、毎日欠かさず続けることが大切です。

ただし、毎日無理なく続けるには手軽さも重要です。肌を解放するケアは、夜寝る前に行うと無理なく続けやすく、おすすめです。就寝前に行えば、寝ている間が肌の解放時間にたっぷり充てられ、何にも妨げられない、肌が本来の働きを発揮できる時間をしっかり確保できます。

このように、夜間の肌本来の働きを活かすスキンケア方法として「夜だけ美容断食」と呼ばれるアプローチがあります。誰でも取り入れやすく、とてもシンプルなケアですので、興味のある方はぜひ、以下のページなどを参考にしてみてください。

→ 誰もが続けやすい、眠っている間のスキンケア:夜だけ美容断食とは

天然保湿因子(NMF)を保つ美肌ケアについてのまとめ

ここまでの説明から、「天然保湿因子(NMF)」が、美しい肌を保つために欠かせない自然な保湿成分であることをご理解いただけたでしょうか?NMFは肌のターンオーバーの過程で生成され、また、加齢などの影響で徐々に減少していくため、肌の基礎的な力を維持するための日々のスキンケアが大切です。肌の機能を保ち、その働きを効果的なものにするためには、肌をストレスから解放するための時間をしっかり確保することがカギとなります。

この目的を達成するための方法の一つとして、「夜だけ美容断食」と呼ばれるスキンケアアプローチがあります。こうしたアプローチなども毎日のスキンケアに取り入れ、潤いに満ちた健康的な美肌づくりにお役立てください。

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