TOP > コラム > お肌のはなし ~ 小じわの原因と 抑えるためのスキンケアのポイント ~

お肌のはなし ~ 小じわの原因と 抑えるためのスキンケアのポイント ~

お肌の曲がり角を迎えると、目元や口元の小じわが気になり始めます。年齢とともに肌の乾燥が進み、ハリや弾力が失われることで、小じわの悩みはさらに深刻化します。加えて、間違ったスキンケアや乱れた生活習慣も小じわを引き起こす要因です。小じわを抑えるには、肌についての正しい知識を身につけ、適切なスキンケアを行うことが重要です。ここでは、小じわができる仕組みとその改善方法についてご紹介します。

しわの種類

しわには大きく分けて、「乾燥小じわ」「真皮じわ」「表情じわ」の3つの種類があります。

  • 乾燥小じわ

    乾燥による水分不足が原因で表皮に生じる細かなしわで、一般に「小じわ」と呼ばれるものがこれに該当します。特に、皮膚が薄く乾燥しやすい目元や口元にできやすいのが特徴です。乾燥小じわの対策としては、肌の潤いを守り乾燥を抑えることを意識したスキンケアが重要となります。

  • 真皮じわ

    加齢や紫外線の影響で真皮層のコラーゲンやエラスチンが減少し、肌のハリや弾力が低下してできる深いしわです。代表的なものとして、ほうれい線や目元の深いしわが挙げられます。真皮じわの対策としては、肌の弾力やハリを保つことを意識したスキンケアが重要となります。

  • 表情じわ

    笑う、しかめるなどの表情の動きが繰り返されることで筋肉が収縮し刻まれるしわで、目尻やおでこ、口元にできやすいのが特徴です。表情の癖、例えば顔をしかめる動作などは、意識して改善することが大切ですが、一方で笑顔によって生まれるしわは、その豊かな表情が人としての魅力を映し出すものとも言え、自然で魅力的なエイジングの一部として受け入れることで、年齢相応の美しさを感じさせる要素にもなります。このようなしわはスキンケアで完全に解消するのは難しいものの、しわが深く定着しないように、肌の柔軟性を保ち、表情がより柔らかく見えるような保湿ケアや、肌のハリや弾力を高めるケアがおすすめです。

しわ・小じわの原因

しわや小じわの主な原因として、乾燥、紫外線、加齢、不規則な生活習慣などが挙げられます。

  • 小じわの原因:乾燥

    肌は、皮脂膜による潤いの保護や、角質層に含まれる天然保湿因子(NMF:Natural Moisturizing Factor)、細胞間脂質といった成分によって乾燥を防いでいます。しかし、これらの保湿成分は加齢や紫外線の影響、不規則な生活習慣、ストレスなどさまざまな要因により、年齢とともに減少しやすくなり、その結果、肌の乾燥が進行します。肌の乾燥が進むと、角質層の水分量が減少し、肌の柔軟性が損なわれます。これにより、肌が硬くなり、表面にひび割れが生じやすくなります。この状態が細かい溝や小じわとして現れ、次第に目立つようになってくるのです。

    天然保湿因子(NMF)の詳細説明についてはこちらをご参考ください。

  • しわの原因:紫外線

    紫外線は、小じわの主な原因である肌の乾燥を引き起こすだけでなく、肌のハリや弾力を損なう重要な要因でもあります。肌のハリや弾力は真皮層のコラーゲンやエラスチンがクッションのように働くことで支えています。紫外線は、これら、コラーゲンやエラスチンを変性させるとともに、それらを生成する線維芽細胞も傷つけます。その結果、肌は内部から支えを失い、肌表面がたるんだり、溝のような形状が形成され、しわとして目立つようになるのです。

  • しわの原因:加齢

    加齢に伴い、肌の構造や機能は次第に変化します。天然保湿因子(NMF)や皮脂の分泌が減少し、水分保持力が低下することで乾燥しやすくなり、乾燥小じわが目立ちやすくなります。また、真皮層にあるコラーゲンやエラスチンが減少し、肌の弾力が失われることで、たるみやしわが顕著になります。さらに、肌のターンオーバー(新陳代謝)が遅れることで新しい肌細胞への入れ替わりが滞り、柔軟性を失った肌がかさつき、しわができやすい状態になります。

  • しわの原因:不規則な生活習慣

    不規則な生活習慣は、小じわを増やす要因となります。睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げ、肌の修復や再生を不十分にし、乾燥やハリの低下を引き起こします。偏った食生活や喫煙は肌に必要な栄養を不足させ、喫煙はさらに血流を悪化させ、コラーゲンやエラスチンを破壊して弾力を失わせます。過剰なアルコール摂取は体内の水分を奪い、乾燥を進め、肝臓の負担から代謝機能も低下します。さらに、ストレスはホルモンバランスを乱し、ターンオーバーを遅らせることで、肌の乾燥や老化を促進します。

しわ・小じわができやすい部位

しわや小じわは、皮膚が薄く乾燥しやすい部分や表情筋の動きが活発な箇所にできやすい傾向があります。特に目元、口元、おでこ、頬などが小じわの発生しやすい部位です。

おでこ

おでこは表情の変化により、表情筋が繰り返し動くため、表情じわができやすい特徴があります。

目元

目の下や目尻は、皮膚が薄く皮脂の分泌が少ないため乾燥しやすい部位です。また、瞬きなどで表情筋が頻繁に動くことも重なり、小じわができやすい特徴があります。

口元

口元は目元と同様に皮膚が薄く、乾燥しやすい部位です。加えて、食事や会話の際に表情筋が頻繁に動くことも重なり、小じわができやすい特徴があります。

小じわを防ぐためのスキンケアのポイント

ここまで、しわや小じわが生じる主な原因として、乾燥、紫外線、加齢、不規則な生活習慣などが挙げられることを確認してきました。次に、それらの要因に対処するために、スキンケアの基本でもある「洗顔・クレンジング」「保湿」「紫外線対策」のポイントについて解説します。

洗顔・クレンジング

1日の汚れをしっかりと落とし、肌を清潔に保つことはスキンケアの基本であり、そのためにクレンジングと洗顔は欠かせない重要なステップです。正しい方法でこれらを行い、日々の習慣とすることで、肌のターンオーバー(代謝)が正常化し、肌が本来持つ力を引き出すことができます。その結果、ハリと潤いに満ちた健康的な肌を保つ基盤が整い、乾燥や小じわを防ぐ効果も期待できます。

毛穴や汗腺をきれいにして、肌の分泌機能や排泄機能が正常に働く環境を整える。

肌には、汗腺を通じて汗と一緒に老廃物を排出し健康を維持する機能があります。また、毛穴の奥にある皮脂腺は皮脂を分泌し、それが肌表面を潤しながら乾燥や外部の刺激から肌を守る働きを担っています。しかし、洗顔やクレンジングが不十分で汚れやメイクが残った状態だと、汗腺や皮脂腺が塞がれてしまい、これらの機能が正常に働かなくなります。その結果、肌の健康が損なわれ、乾燥が進み、小じわができやすくなります。このため、洗顔とクレンジングは非常に重要なのです。

洗顔の利点:洗顔時に働く肌の機能「アルカリ中和能」が肌のターンオーバー(代謝)に良い影響をもたらす。

洗顔やクレンジング時に、石鹸やアルカリ性タイプのクレンジングを使用すると、弱酸性だった肌表面が一時的に弱アルカリ性に傾きます。しかし、肌には「アルカリ中和能」と呼ばれる機能が備わっており、この作用によって酸性物質が生成・分泌され、肌は自然と元の弱酸性に戻ります。この過程で生じる適度な刺激が、肌のターンオーバーを促し、活性化をサポートします。その結果、新しい肌細胞へのスムーズな入れ替わりが進み、肌の柔らかさが保たれやすくなるとともに、乾燥やしわの予防にもつながります。

→ 肌に備わっている働きであるアルカリ中和能など、肌の力を活かしたスキンケア法にご関心のある方は、以下の記事も併せてご参照ください。
お肌のはなし ~スキンケアアイテムの弱酸性と弱アルカリ性について~

適切な方法による保湿ケア

乾燥による小じわを防ぐには保湿ケアが欠かせませんが、適切な方法で行うことが大切です。過剰な保湿や誤ったケアは、ニキビや毛穴の詰まりといった肌トラブルを引き起こすだけでなく、肌のバリア機能を弱め、外部刺激に対する防御力を低下させる恐れがあります。また、肌表面にベタつきがあるのに内側が乾燥している「インナードライ」の状態に陥るリスクもあるため、注意が必要です。

朝の洗顔後の保湿ケアは、肌の健康を保ち、日中の肌コンディションを整える

朝の洗顔後の保湿ケアは、肌の潤いを保ち、一日を通して肌コンディションを整えるための非常に重要なケアです。洗顔で肌を清潔にしたのち、化粧水や乳液などで水分を補い、必要に応じて美容液やクリームで肌を整えます。保湿ケアはまた、肌のバリア機能を補助し、紫外線や乾燥など外的刺激から肌を守る役割もあります。このように、朝の保湿ケアにより、日中の肌の乾燥への予防効果を高めることで、肌の健康を保ち、乾燥による小じわを抑える効果が期待できます。

保湿ケアの注意点:就寝前の保湿ケアは夜間の肌の働きを妨げる要因となり逆効果

保湿ケアは非常に重要ですが、一つ注意すべき点があります。それは夜の就寝前だけは保湿ケアを控え、洗顔とクレンジングのみにとどめるようにするということです。その理由は、夜の保湿ケアは、就寝中の肌の働きを妨げる可能性があるためです。肌は就寝中、老廃物や汗を排泄し、保護のための皮脂を分泌する機能が活性化します。しかし、寝る前に美容液などを使用して過剰に保湿を行うと、毛穴や汗腺、皮脂腺が塞がれ、これらの重要な働きが阻害されてしまいます。このことは、肌の健康や美しさを維持する力を損なう要因になります。

夜のスキンケアには、就寝前の保湿ケアを控え、睡眠中に肌が持つ本来の機能を活かして美肌を目指す「夜だけ美容断食」という方法もあります。このスキンケアは、夜の就寝時は肌を解放する時間に充てるというアプローチで、肌本来の自然な美しさの実現を目指しています。

→ 夜の就寝時は肌を解放する時間に充て、肌本来の自然な美しさを目指すスキンケア法「夜だけ美容断食」にご興味をお持ちの方は、以下の記事も併せてご参照ください。
与えないスキンケア:夜だけ美容断食とは

紫外線対策

紫外線は、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンを変性させ、減少させる原因となります。肌のハリや弾力が失われると、たるみやしわができやすくなります。紫外線対策をする際は、紫外線A波(UV-A)やB波(UV-B)の特性を理解したうえで、UVケア製品を選び、適切なケアを行うことが大切です。特に、紫外線A波(UV-A)はコラーゲンやエラスチンに直接的なダメージを与える原因となります。

日焼け止めクリームや日焼け止めスプレー、UVケアコスメの選び方などについて、ご興味をお持ちの方は、こちらの記事もご参照ください。
お肌のはなし ~紫外線対策で肌ダメージを最小限に!UVケアのポイントは?~

小じわの原因と 抑えるためのスキンケアのポイントについてのまとめ

ここまで、小じわの原因とその予防方法について見て参りましたが、乾燥、紫外線、加齢、不規則な生活習慣がしわの主な要因であることがご理解いただけたと思います。スキンケアの対策としては、まず正しい洗顔とクレンジングを習慣化し、肌に備わっている本来の力の維持に努めることが重要です。また、しっかりと保湿を行い乾燥を防ぎ、紫外線対策を徹底することで、肌のハリや弾力の低下を防ぎ、しわの予防につなげることが大切です。これらのケアを毎日の習慣として取り入れ、潤いに満ちた健康的な美肌作りを目指しましょう。

ページTOPへ